建築板金とは
一般に板金と呼ばれる金属板を利用することにより事業を営んでいる板金業には、大別して、建築板金と工場板金とがあります。
前者は、おもに薄い金属板(薄もの)を使って、これを切断したり、折ったり、貼り合わせたり、変形させたり………。
すなわち加工することにより、屋根・外壁・雨どいをはじめ、厨房用金物・ダクト・天蓋・排気筒、あるいは内壁・工芸品など、主として建築板金製品を製造し、これを建築物の所定個所に取り付ける工事までおこなう業態のものを言います。
これに対し、後者は、おもに厚い金属板(厚もの)を使って、原理的には前者と同様な加工過程を踏むことにより、自動車とか飛行機のボデー、あるいは諸装置を納めるためのキュービクルなどの板金製品を製造し、目的とする生産が主として工場内で完了する業態のものを言います。
建築板金の予備知識
建築板金とは、屋根・外壁・ダクトなどの建築構造物を、板金加工で作成することです。製品には、建築物の外側(屋根などの施工)と、内側(調理場など、設備を作る作業)の2種類があります。建築板金に使用する材料は、亜鉛鋼板、カラー鋼板、ステンレス鋼板などです。厚さ1mm以下の板材が利用され、施工後に塗装が行われることはありません。
・亜鉛めっき鋼板:亜鉛めっき加工された鋼板。亜鉛鉄板、トタン板とも呼ばれる。
・カラー鋼板:表面に塗料が塗布された鋼板。色調による意匠性や、耐食性などに富む。
・ステンレス鋼板:鉄に、クロムやクロムニッケルを添加した鋼板。高い耐食性を示す。
ダクト板金は、空調経路を構築する配管などの施工に利用され、主に薄い亜鉛鋼板を使用します。接合に溶接を用いることはほとんどなく、シーミング(ハゼ組)という手法を用います。
屋根屋さん
通常みなさんがお考えになる『屋根屋さん』にはおおまかにわけて2種類の工事業種があります。1つは和瓦、洋瓦などの主に陶器製の焼き物製品を扱う『瓦屋さん』です。もうひとつは主に金属板を成型した板状の製品を扱う『板金屋さん』です。
板金屋とは住宅や建物に欠かせない建築板金の技術に卓越した業種で、わたしたちは後者の『板金屋』です。
『板金屋』は金属屋根材、雨どい、外壁全般を施工する業種で、瓦工事以外の屋根にはほとんどの場合、関わりがある業種です。瓦工事でも雨水が建物内に入らないようする肝心な部分には必ず金属板が使われます。
また、窯業系屋根材(通常はコロニアルと呼ばれます。)の工事も『板金屋』が行います。自動車鈑金の鈑金屋さんと間違われることが多い呼び方ですが、以前は『ブリキ屋さん』の愛称で呼ばれていました。
手先が器用なことはもちろん、高所での作業に優れ、雨漏りが心配な屋根に金属板を曲げる、切る、叩くなどの高度な技術で施工をし、みなさまの財産である建物を守っています。また古くから地域に密着した専門性の強い職種でもあります。
建築板金職人の思い
『屋根が家を守る』と言えば大げさかもしれませんが、家の暮らしを快適にするため、屋根は私たちが気付かなくても風雨や紫外線からしっかりと守っています。
自然と暮らしの接点といえる屋根。それゆえに屋根は時がたつにつれ確実に劣化していきます。
たとえばリフォームのため屋根材をはがしてみると長年の雨露で下地材がボロボロに腐っていたなど現場ではよく遭遇します。
単に昨今のリフォームブームの中でいろいろな材料、単価で工事を受注する業者も多いようですが、外装リフォームは種類が多く、性能も一長一短です。傷み具合や地域性、意匠性もふまえて最適な材料が選ばれるべきです。
わたしたち屋根の匠は見えないところで大切な役割をはたしている屋根が、末永くお客様の財産である住まいを守っていけるようにみなさまのお手伝いをさせていただきます。みなさま一度、屋根や外壁に目を向けてご確認ください。
建築板金の高度な3つの専門的特色
金属板の塑性加工
金属を曲げたり延ばしたりして加工するには、その金属の特性に精通し、高度な技能や技術が必要です。建築板金は、そのような金属板の塑性加工の高度な専門的技能・技術を有しています。
建築外装施工における雨仕舞い(水処理)
建築物において、最後の仕上げに属する雨仕舞いがきちんとできていないと、その建築物の耐久性に大きな影響を及ぼします。建築板金は、このような建築物の雨仕舞い、すなわち雨処理の高レベルな施工の技能・技術を有しています。
美観・景観づくりの能力
建築物それ自体の優美さはもちろん、周囲のとりあいから全体を見た時の景観。
これらは、建築物を施工する側に高度なセンスがないと実現しません。
建築板金は、伝統的な飾りの系譜をふんでいるため、独特の高度で繊細な技能と技術を獲得しています。